屋内には多くのアスベストが含まれていると考えられています。2005年に入り、アスベストが大きく取り上げられるようになりました。その際、アスベストというものは壁や天井のみならず、屋根にたくさん使われているということが指摘され、アスベストが使われた公営住宅などに住んでいる人が中皮腫を発症したということがニュースになったこともあります。
アスベストが含まれた屋根というものは実際は大正時代以前から使われているのですが、屋根材として全国的に広まっていったのは1961年だと考えられています。この頃にはアスベストの主流である、白石綿が使われていました。先ほども述べた通り、アスベストは粘り気が強く、そして耐久性が高いという事、また耐火性、防音性、断熱性などにも優れておりさらには軽量で安価であるということが愛された理由の1つでした。しかしアスベストの問題が指摘されるようになり、多くの屋根材メーカーは1999年にはアスベストを含んだ屋根材を販売しないということを決めていたのです。そのため、1999年以前に家を建てた人の場合、屋根にアスベストが使われている可能性はそれなりにあるといえます。
一般的にアスベストが含まれた代表的な屋根というのは、例えば1982年から1994年まで販売されていたクボタのアーバニーが挙げられます。まだ10%はアスベストが含まれていました。これはのもアスベスト屋根材の先駆けとなったアーバニーグラッサの前に販売されていた商品となります。また、1961年から1986年にかけて販売されていた同じくクボタのコロニアルという屋根もアスベストを10%から26%含んだロングラン商品です。1975年から1999年まで販売されていたセキスイのかわらUにもそれなりにアスベストが含まれています。
アスベストが建物に含まれているので、それだけでも不安と思う人もいるかもしれません。しかし、アスベストというものはアスベストが砕けた粉末が体内に入ることによってその特性を発生させるのです。そのため、例えば屋根等の断熱材として使われていたとしても、アスベストが露出していることがなければ基本的に心配することはありません。ただし、建築材が破損しており、アスベストが含まれた断熱材が露出しているような場合などは健康に被害を生じさせる可能性があります。全体的に1975年以前に建築された建物にはアスベストが使われている可能性があります。1975年に吹付けのアスベストは利用が禁止されましたが、屋根材は1999年まで販売されていました。そのため、1975年以降に建てられた家であったとしても、もしもアスベストを屋根剤として使っているのであれば1975年以降に建てられた家も注意が必要です。1999年以降はアスベストが含まれた商品は作られていません。そのため、もしもその建物が1999年以降に建てられたものであるならば心配する必要はありません。
屋根にアスベストが使われている場合、メンテナンスをするにもリフォームをするにもアスベストが飛散する可能性が高くなってしまうため、なかなかメンテナンスもリフォームも大変だと考えられています。屋根というものはその建物が建築された直後はしっかりと塗装等でコーティングされているため、仮にアスベストが含まれていたとしても心配する必要は無いのです。しかし屋根というものは常に太陽や雨、紫外線やほこりにさらされていますよね。そのためコーティングが劣化してしまい、アスベストが飛散してしまうのです。それはその家に住んでいる人のみならず、近所の人に対しても悪影響もたらしてしまう可能性があります。
そのため、もしも自分の家の屋根材としてアスベストが使われているのであれば、出来る限り早く点検し、リフォームや工事をする必要があります。最近ではアスベストを含んだ屋根を解体したりリフォームしたりする業者が増えていますが、実績がある会社を選ぶようにしましょう。悪徳な業者も増えているため、彼らの文句だけで選んではいけません。万が一悪徳な場所を選んでしまった場合、自分たちの健康のみならず近所の人たちの健康まで損なわれてしまうということを忘れてはいけません。
ちなみに、アスベストは屋根以外にも学校や船、鉄道車両等において使われてきたこともあります。もともと理科の実験でアスベストが使われていたこともありますが、この実験はすべての学校において禁止されることになりました。また、絶縁材料として使われていたこともありますし、自動車のアンダーコートや鉄道車両の内側に使われていたこともあります。ソ連型宇宙船の帰還船部分には断熱性として使われていたことがあり、それ以外にも水道用のパッキンやパッキングなど、生活のあらゆる場所で使われていました。また、アスファルトに混ぜ、塗装が凍結しないように、あるいはひび割れしないようにするために使われていたこともあります。そのため、アスベストというものは建物以外でも広く使われていたのです。