危険と言われるアスベストとはどういうものなのか

アスベスト風景

アスベストという言葉を聞いたことがあるでしょうか。アスベストというのは石綿と呼ばれることがあり、天然にできた鉱物繊維です。蛇紋石族と角閃石族に分けることができ、その中にはクリソタイルと呼ばれる白石綿、クラシドライトと呼ばれる青石綿、アモサイトと呼ばれる茶石綿、アンソフィライト石綿、トレモライト石綿、アクチノライト石綿の6種類があり、日本においては白石綿、茶石綿、青石綿が伝統的に使われてきました。白石綿は世界中で使われており、世界で使われているアスベストの9割を占めています。

近年、健康被害が指摘されているアスベストですが、1970年から90年の20年の間に年間約300,000トンという石綿が輸入されてきました。この8割以上が建築物に利用されたと考えられています。日本においてはまず、1975年9月に吹付けアスベストの使用が禁止されることになりました。1995年にアスベストの中でも有害性が高いと考えられている茶石綿と青石綿の使用が禁止され、白石綿も2004年10月に労働安全衛生法施行令が改正されたことによりこのアスベストを含んだ建材屋摩擦材、接着剤等の製造が一切禁止されることとなったのです。そして2006年の9月以降には大体が困難である適用除外製品などを除き、その建物全体の0.1%以上のアスベストを含んだ建築蔵が禁止されることになりました。

1970年から1990年にかけて、アスベストを含んだ建物が大量に建築されたことにより、今後はこれらの建築物の老朽化が起こります。そのため建築物を解体しなければならなくなるでしょう。その際、解体工事の時にアスベストを吸い込んで健康被害を起こさないように、2005年7月には「石綿障害予防規則」というものが出来上がりました。2006年9月、2009年4月、2011年8月、そして2004年6月に1歩ずつ改正されています。また、2014年6月には大気汚染防止法も一部改正されることになりました。

アスベストは建築のみならず、生活の様々な場所で利用されています。先ほどアスベストを6種類紹介しましたが、アスベストの用途自体は3000種と言われています。その中でも石渡工業製品と建材製品に分けられており、アスベストの8割以上は建材製品として用いられているのです。もともと1955年頃からアスベストを利用した建材製品が使われるようになり、1960年代に入り高度経済成長が起こってからは高層ビルや鉄鋼建築物の建築に伴って軽量耐火被覆材として利用されるようになりました。そもそもアスベストは値段が安く、耐火性、断熱性、防音性、絶縁性などで優れているため、様々な場で適切な材料だと考えられてきたのです。

そんな中で2005年、アスベスト含有製品を作り上げてきた工場の周辺で住民たちの健康被害が指摘されるようになりました。医療費等の救援措置が法律で決められ、アスベストが問題なのではないかということがわかり始めてきたのです。今となってはアスベスト製品はほとんど全廃されている状態ですが、アスベストを含んだ建設物を解体するときにアスベストが飛び散るのではないかという問題が指摘されています。

もともとアスベストが肺がんの原因になるのではないかという事は1938年、ドイツが発表した時点で分かっている事でした。これを受けてドイツはすぐにアスベスト工場に換気装置を導入し、労働者に対して補償を義務付けるようにしたのです。アスベストの研究は第二次世界大戦中も続けられていましたが、その戦争中の研究は戦後無視されてしまい、戦後すぐに対応がなされるという事はありませんでした。しかし1964年、アスベストが人体に有害であるという事が発表され、世界最大のアスベストメーカーであったアメリカのジョンズ・マンビル社が責任を追及されることになったのです。1973年に製造者に対して責任が認められ、その後1985年にかけて30,000件の訴訟が起こりました。マンビル社も1981年の段階で被害者に対し、35,000,000ドルの保証金額を支払うことと決まったのです。最終的にこの会社は1982年に連邦倒産法第10一生を申請し、倒産することになりました。

なお、アスベストによる健康被害は様々なものがありますが、特に肺がんの被害が指摘されています。50年間アスベスト工場で労働することにより、肺がんにかかるリスクは2倍になると言われています。ただし、アスベストによる肺がんのリスクは喫煙による肺がんリスクの2倍以上ということもあり、アスベストによる肺がん認定が困難になっています。アスベスト異常に喫煙というものは肺がんを引き起こす大きな問題になりやすいのです。世界的には1995年の阪神淡路大震災、2011年の東日本大震災、2016年の熊本地震に置いて壊れた建物からアスベストの被害が指摘されています。また、世界を震撼させたアメリカ同時多発テロにおいても同様にアスベストの被害が重視されました。これらを受けて、世界的にアスベストへの脅威が理解されるようになりつつあります。